掃除機が壊れたとき、あなたならどうしますか?
多くの人は、家電量販店へ足を運び、最新モデルのプライスカードを見て溜息をつき、結局「今は高いから」と騙し騙し古い掃除機を使い続けるか、あるいは数万円の痛い出費を覚悟するはずです。
でも、僕はあえて言いたい。
「ダイソンは、壊れてからが最高に面白いんだ」と。
今回、僕がメルカリという広大なジャングルで見つけ出したのは、一台の「ゴミ」として出品されていたDyson V6 Trigger+。価格はわずか2300円。
これをAmazonで調達した3880円のバッテリーで復活させるまでの、面白くもある知的な大人の遊び、その全貌をここに記します。
目次
メルカリの深淵で見つけた「2300円のお宝」

その日、僕はいつものようにメルカリで「ダイソン ジャンク」というキーワードを漁っていました。そこで目に止まったのが、一台のV6トリガー。
出品文にはこうありました。
「パーツは全てあります。コンセントをさすと赤く点滅します。本体の上の部分が外れていてうまくはめられないので、このまま発送させていただきます。ノズルのほこり、汚れ具合等、画像の通りです」
この一文を読んで、「うわ、大変そうだな」と思うか、「これはチャンスだ」と思うか。
そこがガジェット好きとしての分かれ道です。
僕は確信しました。
この「赤点滅」という症状。
ダイソンユーザーにとっては馴染み深いこのサインは、実は「本体の寿命」ではなく「バッテリーの寿命」なのです。
ダイソンは非常に賢い設計をされており、エネルギー源であるバッテリーが限界を迎えると、基盤がそれを検知して赤色のLEDで知らせてくれます。
つまり、モーターはまだ元気に動きけている。ただ、バッテリーがヘタっているだけなのです。
さらに「上が外れている」という不穏な一言。
これも写真をつぶさに観察すると、どうやらツメが折れているわけではなく、フィルターのパッキンが浮いているだけのようです。
20年近くMacやガジェットを触ってきた僕の勘が、「これは簡単に直る」と告げていました。
送料込みで2300円。
もし失敗しても、ちょっと贅沢な外食を食べたと思えば諦めがつく。
僕は迷わず「購入」ボタンをポチりました。
ちなみに、メルカリで「ダイソン ジャンク」と検索すると膨大な数が出てきますが、修理して使うためには「直せる故障かどうか」を見極める必要があります。
このような説明文があればチャンスです。
メモ
・コンセントを差すと赤く点滅する:これはダイソンV6においてバッテリーの寿命を知らせる明確なサインです。基盤やモーターが生きていれば、バッテリー交換だけで直ります。
・使い始めるとすぐバッテリーが切れる:これも同様にバッテリーの寿命が考えられます。
・本体の上が外れてはまらない:V6によくあるフィルターなどの装着不良と推測しました。物理的な破損(ツメ折れ)でなければ、工具なしで修正可能です。分解清掃するとたまにもとに戻せなくなってしまう人が現れるようです。
・ノズルの汚れがひどい:これは見た目の問題であり、分解清掃すれば解決します。
届いたダイソンをチェックする

数日後、手元に届いた箱は意外にもコンパクトでした。
物によっては数年使って汚い場合もあります。綺麗に使われていたり、発送前に清掃をしてくれていれば、新品並みに綺麗ということもあります。
今回購入したのは経年劣化はあるが、そこそこ綺麗といった感じでした。
で、実際に届いたものもまあまあ綺麗。
出品文の「画像の通りです」という言葉は、非常に誠実だったと言えるでしょう。
クリアビン(ダストカップ)は思いの外透明感があり綺麗、サイクロン内部も同様に綺麗。
これなら嫌な気は一切しません。
むしろ、「えっ?こんなに綺麗なの買えてラッキー」という、妙な高揚感が湧いてきたのです。もちろん新品なみに綺麗ではありませんよ。
とはいえ、ジャンク品はどれも綺麗と言うわけではありません。基本汚いと思ってください。
ジャンク修理というのは、単に部品を替える作業ではなく、そのガジェットが辿ってきた時間をクリーニングし、新たな命を吹き込む「儀式」のようなものなのと考えておくと良いかもしれません。

まず、一番の不安要素だった「上が外れてはまらない」問題に着手しました。
本体を手に取り、ダストカップがついたユニット部分を観察すると、しっかりハマっていません。
これは・・・手のひらで叩いたら一度でハマりました(笑)
「パン!(手で叩いた音)」
「カチッ!」
その瞬間、バラバラだったパーツがひとつの美しいプロダクトへと一瞬で戻りました。
この感触、この音。これだけで、この2300円のジャンク品は、僕の中で「修理待ちの完動品候補」へと昇格しました。
互換バッテリーという「禁断の選択」とその真実
次に用意したのは、Amazonで注文しておいた互換バッテリーです。価格は3880円。
ダイソンの純正バッテリーは、確かに信頼性は抜群です。
しかし、価格も抜群に高い。
V6用を公式サイトで購入しようとすれば、下手をすれば1万円近い出費になります。
2300円の本体に対して、1万円のバッテリー。それでは節約ブロガーとしての、いや、ガジェット好きとしての矜持が許しません。
そこで選んだのが、サードパーティー製の互換品でした。
ネットでは「互換品は危険だ」「発火する」といった極端な意見も散見されますが、2026年現在の互換バッテリー市場は、以前よりもずっと進化しています。
僕が互換バッテリー選びで重視したポイント
PSEマークがしっかり表示されているか これは日本の電気用品安全法をクリアしている証。
最低限の「安心のパスポート」です。
レビューの「行間」を読む
「最高です!」といった短文のサクラレビューではなく、悪評もあるもの。
もちろんサクラチェッカーで高得点のものを選びました。
容量のリアリティ?
ただ1点懸念だったのは、純正が2100mAh程度なのに、同じサイズで「8000mAh!」と謳っていた点。まあはじめからそんなわけがない・・・と思っていると裏切られた感はありません。
ただレビューの皆さんは信じているようでしたが・・・。
トータルコストは6200円弱。この金額でダイソンが手に入る。
このワクワク感こそが、ジャンク修理の醍醐味です。
わずか5分の「外科手術」:ドライバー一本の魔法

いよいよ、心臓部の入れ替え作業です。
用意したのは、使い慣れた細いプラスドライバーが一本だけ。
ダイソンV6の構造は、驚くほど合理的です。
バッテリーを固定しているのは、たったの「2本」のネジ。
一本は、持ち手の後ろ側。

もう一本は、ダストカップを開けた内側の付け根。
これらを時計と反対周りに回すと、寿命を迎え、赤く点滅するしか能がなくなった古い純正バッテリーが、重力に従ってスルリと抜けていきました。

空いたスペースに、新しい互換バッテリーを差し込みます。
少しだけ緊張する瞬間です。端子がしっかり噛み合う感覚を指先で確認し、再び2本のネジを締め直します。作業時間にして、わずか3分から5分。
「これで本当に直るのか?」
そう自問自答しながら、僕はゆっくりと、あの赤いトリガーに指をかけました。
運命の瞬間:青い光と、懐かしの爆音
トリガーを引いた瞬間、僕の耳に飛び込んできたのは、あの懐かしくも力強い「キィィィィィン!」という高周波のモーター音でした。
バッテリーのLEDは、不吉な赤色ではなく、透き通るような鮮やかな「青色」に。2300円で捨てられていた鉄の塊が、再び「世界最強の掃除機」として蘇った瞬間でした。
実際に階段を掃除してみると、その吸引力は衰えを知りません。
V6は、現在の最新モデルと比べれば、確かに連続使用時間は短いです(通常モードで20分、強モードで6分程度)。しかし、この「トリガー式」の軽快さと、一瞬で最高回転数に達するパワーの立ち上がりは、ハンディ機としては2026年の今でも完成された完成度を誇っています。
ソファの隙間にノズルを突っ込み、トリガーを引く。
バリバリとホコリを吸い上げる音。クリアビンに溜まっていく、目に見える成果。この快感のために、僕は数千円と数分を投資したのだと、深い満足感に包まれました。
まとめ
今回の修理にかかった費用は、トータルで6100円でした。
世の中には、これより安い新品の掃除機も売っているでしょう。でも、自分でネジを外し、構造を理解し、汚れたパーツを磨き上げて蘇らせたこのV6には、最新機種をカード一枚で買うのとは全く別の「重み」があります。
ダイソンというメーカーの凄いところは、このように10年以上前のモデルであっても、誰かがパーツを作り続け、誰かが直し方をシェアしているという「エコシステム」ができあがっている点です。
「壊れたから捨てる」のは簡単です。でも、「壊れたから直す」という選択肢を持つことで、僕たちの生活はもっと豊かで、もっと自由になれる。
もし、あなたの家の押し入れに、あるいはメルカリの隅っこに、赤く点滅して眠っているダイソンがあったら、ぜひ思い出してください。プラスドライバー一本と、ほんの少しの好奇心があれば、その「ゴミ」は再び、あなたの生活を支える最高の相棒に変わるのです。
今回の修理にかかったコストまとめ
Dyson V6 Trigger+(メルカリ・ジャンク): 2300円
V6用 互換バッテリー(Amazon): 3880円
合計: 6180円
作業時間: 5分(清掃時間を除く)
得られた満足度: プライスレス
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